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「従業員」と呼ばれるよりも「社員」と呼ばれたくないですか?

「従業員」と呼ばれるよりも「社員」と呼ばれたくないですか?

北見昌朗は平成7年に社会保険労務士事務所を開業しました。顧客の就業規則を地元の労働基準監督署に届出に行った時です。労働基準監督署官は、就業規則を見て「この社員という言葉は従業員に直した方が良い」と言ってきました。それで深く考えずに従業員と訂正して再び届け出ました。

今から思うと北見昌朗が浅はかでした。「社員」と「従業員」とでは言葉の意味が異なります。原文のまま「社員」としても良かったと思います。「社員」と呼んだ方が、敬いになるからです。

【戦前の呼び名】

戦前、会社にはホワイトカラー(「社員」)とブルーカラー(「職工」「工員」「労務者」)という2種類の人がいました。まったく別の世界に属していて、両者を包括する言葉はありませんでした。

国語辞典で類似語を探してみますと、こんな言葉が出てきます。

【社員】(しゃいん)
 1 会社の一員として勤務している人。
 2 社団法人の構成員。株式会社では株主とよばれる。
この「社員」という言葉は、人を人間として認めている印象を持ちますが、いかがですか?

【職工】(しょっこう)
 1 工場の労働者。工員。
 2 手工業に従事する人。職人。
この「職工」は、現場の人に対する蔑視を感じます。失礼な気がします。

【工員】(こういん)
工場の現場で働く労働者。職工。

【労務者】(ろうむしゃ)
労働、特に肉体労働に従事する人。労働者。
何と響きの悪い言葉でしょう。こう呼ばれたら怒りますよね。

【従業員】(じゅうぎょういん)
雇われて業務に従事している人。
問題は、この「従業員」です。戦前は使わなかったのもしれません?が、戦後は広く普及しています。この「従業員」という呼ばれ方をしたら、皆様は嬉しいですか? 北見昌朗は嫌です。上から目線を感じますし、何か手足のようにこき使われる気がします。人間としてではなく、手足のような扱い。

【職員】(しょくいん)
この「職員」という言葉は、抵抗感を感じません。北見昌朗もよく「うちの職員は…」と言います。

【雇員】(こいん)
官庁などで、正規の職員をたすけるために雇う者。

英和辞書を見てみましょう。

「従業員」の一般的な英語訳は employee です。
語源は「em-『中へ』ploy『折る』-ee『人』」(事業に引き込まれた人)という意味だそうで、意味のわからない解説ですが「従業員」という意味なのでしょう。
これは、employer(使用者)の対比語です。

「職員」の英語訳は、staff です。

「社員」の英語訳は、member です。

何と良い響きでしょう。選ばれた者のイメージが伝わってきます。

同じものでも、呼び方ひとつでニュアンスが変わってきます。さらに熟考したいものです。