西遠労務協会 メールマガジン
これをしておけば農薬混入事件は起きなかった
年功序列から能力主義に変わった
マルハニチロ(アクリフーズ)の農薬混入事件、49歳の契約社員の逮捕が大きく報道されています。この契約社員は、事件発生後の警察の聞き取りに対し、「みんな給料に不満を持っている」と言っていたとのこと。昨年、給料が年功序列から能力主義に変更となり、自分の給料が減っていたというのです。また、正社員と契約社員との待遇の差も報じられています。
もちろん会社としては、より良くするためにおこなわれた変更や社員の処遇だったのでしょう。
けれどもそれにもかかわらず起きてしまった事件。会社は一体どうしておけばよかったのでしょうか。
こうしておけばよかった
①面談で評価結果を本人にフィードバックする
能力主義を採り入れた時は、最低年2 回の面談が必須です。本人にその評価を伝え、その場を使って今後どうしていったらよいのかについてもやり取りもしてください。
②時には契約社員にも研修をおこなう
スキルアップを本人任せにせず会社としての支援も必要です。「軽んじられている、放置されている」、契約社員がそんなふうに感じてしまわないためにも。
③正社員と契約社員の業務に差をつけ、かつ、その差が社員にわかるようにしておく
おそらく、正社員と契約社員の仕事や業務上の責任には差があったのでしょう。けれどもそれが契約社員には理解されていなかった、その可能性が大。「自分達契約社員の待遇は正社員と比べて悪すぎる!同じことをしているのに。」逮捕された契約社員はそこに大きな不満を感じていたのではないでしょうか。
④無期雇用の契約社員制度、正社員への登用制度などを作る
「秀でている契約社員」にはチャンスを!
⑤食堂利用やレクリエーション参加など福利厚生面での正社員と契約社員の差を無くす
契約社員が「差別感」「疎外感」を持たないように。職場の一体感を作るためにも。
いろいろな方策をとることが必要
ざっと考えただけでも、「これをやっておけばよかったのに」ということがいろいろ出てきます。
そしてきっとこの中には、アクリフーズで実際に取り組まれていたこともあることでしょう。けれども会社は「何かをやっていればよい」ではなく、いろいろな方策をとっておかなくてはならないのです。
なぜならそれぞれの社員ごとに重視する、こだわる部分は違うものですし、会社に対しての「まずまず満足」「不満足」という判断は、トータルでおこなわれるものだからです。
今回、経営者は責任を取って辞任を発表しました。それだけ重い責任を背負った存在である経営者ですが、だからこそやらなくてはならないこと、できることがたくさんあるのです。
西遠労務協会メールマガジンNo.123
平成26年1月26日
人事金制度と企業内コミュニケーションの改善をご提案します。
西遠労務協会/㈱ビジネスコーチ人事研究所 山口悦子