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“ジャブジャブ コロナ景気”がやってきたあ!

北見式賃金研究所 北見昌朗 令和2年4月

“じゃぶじゃぶ コロナ景気”

ビアガーデン

北見昌朗は夢を見てしまった。2020年4月1日の夜である。なにやら、こう騒がしい音がして、人々が呑めや唄えやで大はしゃぎしているのである。

2020年8月21日の金曜日、19時のことである。名古屋市中区栄のビヤホールは満員の客で溢れていた。入口には、大勢の人が待っていた。

マスクなどしている者は、もう誰もいなかった。
笑顔、おおはしゃぎ、大声、笑い声、なにしろ賑やかである。

女子会をやっているグループがいた。唐揚げを頬張りながら、ビールをグイッと呑み干した。
 A子「ねえ、こんど私、結婚式に呼ばれているの。それがさあ、9月19日の土曜日で、仏滅なの。そんな日に結婚式やる?」
 B子「へえ、仏滅に!」
 A子「何でも予約が取れなかったらしいの。本当は3月に予定していたのだけど、例のコロナで流れちゃって…。ようやく落ち着いたと思って、ホテルに電話したら、秋に結婚式が殺到したらしいの」
 C子「それ、聞いたわ。ホテルでは、1日に4回も結婚式が行われているらしいの。随分、急がしそうよ」

男性サラリーマンのグループもいた。大きな口でウインナーを頬張っていた。
 A男「それにしても、あの30万、どうする?」
 B男「それそれ、まだ使わずに取ってあるんだけど、女房が服を買うって言うんだよ」
 A男「そりゃないよ、俺たちにだって分けてくれなきゃ」
 B男「そうだろ。せめて半分は欲しいよね」
 A男「当たり前だよね。俺もゴルフ道具を買い揃えたいし」

家族連れのグループもいた。祖父はニコニコしながら孫の頭を撫でた。
 祖父「おい、今日は、何食べても良いぞ。おじいちゃん、奢ってやるから」
 祖母「何言っているのよ、どうせ、名古屋市からもらった食事券でしょ。3万も、よう下さったわ。河村市長も太っ腹ね」
 息子「食事券って、1世帯あたり3万円なんだよね? 今日は良いお酒頼んでも良いよね?」
 祖父「ああ、良いよ。有効期限がもうスグだから、パッといかなきゃ」
 息子の嫁「ところで、今度の家族旅行どこ行くの? あなた、行き先決めたの?」
 息子「いや、まだ」
 息子の嫁「なにグズグズしているのよ? 旅行会社なんて、どこも満員御礼よ。早く申し込まないと…。なにせ、有効期限が年末までだから…」
 祖父「ところで今日は、舞台でカラオケやっても良いかなあ」
 祖母「またあ、下手な歌なのに」
 祖父「良いじゃないか、だって、自粛自粛で、ストレス溜まっているんだ」

PTAの集まりで来ているグループもあった。
 A子「ねえ、例の時に、会社から給料もらった?」
 B子「例の時って?」
 A子「3月の時よ。小学校がいきなり休校になって、それで休んだ親に対して給付金がでたでしょ?」
 B子「ああ、あれ? もう、うちの会社なんて酷いの。そんな制度は作れないといって、給付されなかった。だから欠勤扱い。あったまきたから、今度辞めてやろうと思うの」
 A子「酷い会社ね。今は求人が増えたらしいから、仕事はいくらでもあるそうよ」

中国人のグループもいた。派手な女の子を連れていた。例によって大きな声で、世をはばかることもせず言い放った。(中国語で)
 毛「それにしても、今年はいい年だったよな。こんなに儲かるとは思わなかった。マスクを買い占めてやったら、10倍の値段で売れて1億儲かった。もうウワウハだよ」
 李「たったそれだけか? 地味だな。俺なんて10億円だよ」
 周「それにしても日本は良いところだよ。稼ぎたい放題だ」

ビヤホールの一番奥には、やや人相の悪い連中もいた。みな、刺青だらけである。
 親分「それにしても、今年はいい年だった。もうガッポガッポで笑いが止まらんわ」
 新入り「と、もうしますと?」
 兄貴「なに、お前知らんのか? 今年は緊急融資制度が出来て、オカネを借りることができた。5000万の枠なんだけど、何と無担保。それでスグ融資が降りた。会社はペーパーカンパニーが10社あったんで、何と1億5千万も引き出せたんだ」
 新入り「へえ! でも返さなければいけないんでしょ?」
 兄貴「アホか、借りたカネを返す馬鹿はいない」
 親分「当たり前よ。俺たちヤクザに、返済という文字はない。それはそうと、例の助成金の方はいまくいっているんだろうな?」
 兄貴「はい、順調です。会社が休業しているということにして、もう毎月1千万円入ってきます」
 親分「そっかあ! 安倍さんも、頑張ってくれたものよ」(高笑い)