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「定額残業代」のため基本給の低さがスッポンポンに

名古屋商工会議所の会報誌『那古野』(平成28年11・12月号)に北見昌朗が記事を投稿しました。

第5回目 たかが求人票 されど求人票


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ハローワークに求人票を出すのは、言うまでもなくタダです。そこで今回は求人票を上手に書き込む極意を説明しましょう。

ネットで「ハローワーク 求人票」と検索すると、厚生労働省の「求人申込書の書き方」というページが出てきて、見本が載っています。

そもそも求人票には「事業所登録シート」と「求人申込書」という2種類があることをご存じですか? 「事業所登録シート」はいったん提出すると、会社が変更しない限り変わりません。ですから昔のままになっている例をよく見ます。

「事業所登録シート」には「事業内容」「会社の特長」という欄がありますので、しっかり書き込みましょう。「事業内容」は90文字が制限です。某社の「事業内容」は「農産物の加工・惣菜の加工生産」となっていました。このように素っ気ない記述を、北見は「紋切り型」と名付けています。これを添削するとこうなります。

「平成20年に新設した新鮮なカット野菜・フルーツを提供する会社です。社員97名による徹底した衛生管理と最新鋭設備の導入により、高品質、低コストを実現しています」。

また、求人申込書は募集条件が書かれる訳ですが、応募者は求人申込書のどこを見ているものでしょうか? ハローワークは、アイトラッキング(目の動き)で調査しました。すると「1位仕事の内容、2位就業時間、3位休日、4位就業場所、5位事業所名」という順位でした。意外にも初任給ではないのです。

「仕事の内容」は一番見られている肝心な部分なのです。そこは100文字ぐらいまでが文字数です。某社は「農産物の加工、惣菜の加工生産及び生産品質管理業務」となっていました。これを添削するとこうなります。

「野菜・フルーツのカット加工及び生産品質管理を担当していただきます。優良農家で心を込めて育てられた新鮮な野菜・フルーツの品質をそのままお客様にお届けするために、最新鋭設備による生産を行っていただきます。実務経験がなくても、熟練した監督者が設備の取り扱いおよび衛生・品質教育をマンツーマンで指導します」

いかがでしょうか? だいぶ印象が違いますよね。人を積極的に募集する熱意を感じますよね。中小企業の求人票をみて見ると、ほとんど紋切り型です。

応募者を集めるには、条件が良くないとできません。初任給とか、休日数の相場は既に解説した通りです。そこを見直したら、次のテーマはセールスポイントを文字にすることです。求人票の日本語にこだわって下さい。

このように求人票は奥深いのです。たかが求人票、されど求人票です。

話のポイント
・一番見られているのは「仕事の内容」。ココをバッチリ書き込もう。
・事業所登録シートは古くなりがち。会社の“今”を伝えよう。