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<コラム> 社会保険労務士は“一極集中”の時代になった

一極集中

社会保険労務士は、ほんの一握りの事務所がグングンと業績を伸ばす中で、残りのほとんどの事務所は、長期低迷のトンネルから脱せずにいる。このような“一局集中”の傾向はますます強まるだろう。

社会保険労務士の多くの人は、年間売上高が1000万円にもならない“貧乏人”である。このような“その他大勢の社労士”から抜け出さなければ明日はない。

成長力の差は“営業力の差”から生まれる

伸びる事務所と、伸びない事務所の大きな違いは、営業力である。

社会保険労務士という人種は、そのほとんどの人が営業下手である。下手というよりも「営業嫌い」と言っても良いかもしれない。

社会保険労務士というのは商売であるはずなのに、営業活動を一切行なっていない人がほとんどである。

営業力の差は“企画提案力の差”から生まれる

社会保険労務士は「経営コンサルタント業」である。経営コンサルタント業の仕事は、顧客の業績向上に寄与することである。

社会保険労務士のほとんどの人は、この当たり前のことが理解できていない。だから、経営者のニーズからずれてしまう。

企画提案力は“一点集中の戦略”から生まれる

企画提案とは、何か? それは相手をうならせる"アドバイス"のことである。

それならば、そのアドバイスとはどうすればできるようになるのだろうか? それは“一点集中の戦略”から生じるようになる。自分の好きな仕事、得意な仕事、ワクワクする仕事に集中して、継続することだ。そうすれば自ずから専門分野で強くなる。

大事なのは“賃金”である

世の多くの中小企業の経営者は、人の問題で悩んでいる。

人の問題は、イコール賃金の問題だと言っても過言ではない。だから賃金管理を実践的に提案できる社会保険労務士は、経営者から評価されて仕事が集まってくる。

つまり、賃金管理に関して強いことが、これからの社会保険労務士にとって必須要件になる。

在来の大手企業の賃金理論ではダメ

賃金管理というと、何を想像するか? 例えばキーワードを挙げてみよう。
「職能資度」
「職能給」
「年齢給」
「勤続給」
「何等級何号俸という賃金表」
「加点主義人事考課」
「ポイント制退職金」

などが頭に浮かぶ人は、頭がだいぶ毒されていると思って間違いない。

そんな理論を作ったオジイサンンたちの顔ぶれを想像すればよい。弥富さんとか、楠田さんとか、いずれも国家公務員の官僚出身者だ。

つまり、彼らの主張の本質にあるのは「官僚の賃金体系」だ。だから中小のオーナー経営者のニーズに合うわけがない。

在来の思想をすべて疑え

あえて申し上げる。弥富さんとか、楠田さんとかの本を一切読んではいけない。読めば、先入観が入り、頭が毒されるからだ。

それならば何の本を読むべきかと言うと、変な言い方だが、本は読まない方が良い。それよりも経営者に会うことだ。経営者が何に苦しみ、困り、歯ぎしりしているのかを聴いて欲しい。そして自分が相手の立場なら、どんな経営をしたいのかをトコトン考えて欲しい。そうすれば、中小企業にはどんな賃金管理が必要なのかは自ずからわかってくる。

賃金コンサルタントに必要なのは、実践の数の多さだ。その実践の中から自分の頭で考えるからこそ、独創も生まれてくるのだ。 

モデル賃金統計は誤解の元

世の中には「間違っているものなのに、多くの人がそれを信じて疑わないもの」がある。その一つが「モデル賃金統計」だ。

この「モデル賃金統計」はいわゆる「平均的な賃金相場」のことではない。この「モデル」とは「標準的に昇進昇給した場合の賃金カーブ」のことを指している。だから「新卒で入社して課長・部長になり、定年までいった場合の賃金カーブ」のことである。つまり、何のことはない。「エリートクラスの給料」のことだ。

多くの人は、この「モデル」という概念を知らない。例えば「50歳 高卒 45万円」という数値を聞くと、一般の人は単純に信じてしまうが、だから困る。

そもそも考えて欲しい。「高卒で、50歳で部長になり、45万円もらえる人が何%いるのだろうか?」と――。
それはいたとしても、レアケースだ。

中小企業に必要なのは実在賃金である

中小企業は、新卒の定期採用がなかなかできていない。そんな中小企業には、もともと「モデル」という概念は似合わない。中小企業に必要なのは、実際に支給されている賃金を集めた「実在賃金統計」だ。

北見昌朗は平成18年春に、愛知県下の中小企業の従業員の賃金1万人以上を集めた賃金統計「ズバリ!実在賃金」を発表した。公的な統計を凌駕する規模である。これはグラフィックなグラフでできており、在来の賃金統計とはまったく異なる代物だ。

北見式賃金研究所は中小のオーナー会社に合った
実践的理論を目指す

北見昌朗は、(株)北見式賃金研究所を平成7年に設立した。「中小企業に合った賃金管理を産み出し、全国に普及させること」を想い、その志を込めて社名を決めた。

この「ズバリ!実在賃金」は、(株)北見式賃金研究所にとって過去の研究成果だ。全国にどこにも例のないスケールとレベルだと自負している。

賃金コンサルを売り物にした社労士事務所

(株)北見式賃金研究所は、賃金コンサルを売り物にした社労士事務所である。それは「単なる社会保険労務士事務所」でもないし、「単なる経営コンサルタント事務所」でもない。あくまでも「社会保険労務士事務所であることにこだわり続けている経営コンサルタント事務所」だ。

経営コンサルタント業は、顧客開拓が容易であるという長所があるが、取引の継続性がないという短所がある。社会保険労務士は、取引の継続性があるが、顧客開拓が容易ではないという短所がある。

その長所と長所を組み合わせるために「賃金コンサルを売り物にした社労士事務所」というカテゴリーを選んでいるのだ。

事務所の収益は月額5万円の客数で決まる

「賃金コンサルを売り物にした社労士事務所」は、その顧客の客筋にこだわらなければいけない。「合った客筋」があるからだ。

その客筋とは、「月額5万円の基本料金を下さる会社」である。毎月下さるわけだから、一定の収益がないととても払えないだろう。

まっとうな事務所になろう

北見昌朗が目指すのは“まっとうな社労士事務所”である。その“まっとう”という意味は、次のようなことだ。

「まっとうなビジネスをしている中小企業」

「社員にまっとうな給料を払っている中小企業」

「役員報酬をまっとうにもらっている中小企業」

「納税をまっとうに行なっている中小企業」

そんな客筋の会社を相手に「まっとうなコンサル」をする事務所でありたいと思う。

日本の安定化のために、給与コンサルタントがすべきこと

私が給与のコンサルタントとして、これからやりたい、やらねばならない仕事

  • その① 年収400万円以上の雇用を増やすこと
  • その② 法人税1000万円を払う企業を増やすこと

なぜなら、そのような会社こそ日本にとって必要だからだ。日本の給与所得者は5000万人いて、その所得税の合計は7兆円である。5000万人の中で、年収400万円以上の人は4割いて、その人が所得税の9割を払っている。また、800万円以上に絞ると8%しかいないが、その人が57%を払っている。

日本は、ごく一部の優秀な人が猛烈に働き、稼ぎ、納税している。日本を支えているのは、ほんのごく一部のリーダーだ。そのリーダーは累進課税の税法で困っているが、私はそれで構わないと思う。だって、7000万人の人は高齢者とか子供とかで、勤労者でないからだ。リーダーが支えていかない限り社会が成り立たない。私自身もその1人でありたいと願う。

このように考えると「年収400万円以上で社員を雇用し、かつ、法人税を1000万円以上払っている会社」こそが日本を支えている宝物だといえる。

私は、中小企業に対して次のような提案をしたい。

  • その① 業績連動の年収の仕組みを採用すること
  • その② 会社が儲かれば、社員の暮らしも良くなることを実感してもらえるような仕組みを作ること
  • その③ 何よりも雇用を大事にして、社員を路頭に迷わせないようにすること

それを実践する経営コンサルタントでありたい。

平成26年3月 北見昌朗

講演CDを毎月制作

講演CDを毎月制作することで、社会保険労務士法人北見事務所は情報発信に努めています。