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家族手当・住宅手当の見直しを

「努力給」と「属人給」

諸手当の中には、いろいろな種類がありますが、性格別に分類すると次のようになります。

努力給(役職手当、資格手当等)
努力して勝ち取るもの

属人給(家族手当、住宅手当等)
努力とは無関係でもらえるもの

属人給が大き過ぎると能力主義から離れる

会社としては当然能力主義の色彩を強めたいはずです。しかし、現実の賃金は必ずしもそうなっていません。

A社
太郎 30歳。未婚。大学を出て入社して8年目。係長。親元から通勤。
次郎 30歳。既婚(扶養の配偶者+2人)。勤務年数0年。無役。

2人の賃金は次の通りでした。

A社では、家族手当は「扶養の配偶者1万5,000円+18歳までの子1万円」、住宅手当は「扶養家族を有する賃貸住宅居住者3万円、扶養家族を有する持ち家居住者1万円」となっていました。

家族手当は住宅手当とセットで検討すべき

前述の手当を合計してみましょう。

太郎
努力給(役職手当2万円、資格手当1万円) + 属人給ゼロ = 3万円

次郎
努力給ゼロ + 属人給(家族手当2万5,000円、住宅手当3万円= 5万5,000円

属人給のウエートが大き過ぎると、能力主義から遠ざかる。家族手当と住宅手当は年間で合計66万円になります。

仮に人事考課で「A」を取って昇給や賞与が多くなったとしても、その額はしれていますから、結局年収を左右するのは「家族の有無」とか「住宅の有無」になります。

これでは人事考課を行う意味すらありません。

家族手当や住宅手当はいっそのこと廃止した方が良いのか?


考え方によりますが、個人的には家族手当(子供分)を残した方が良いと思っています。
無ければ社員から「福利厚生がない」と不満をいわれかねませんし、採用面でも不利です。
そこで「少額でも良いので残した方が良い」というのが考え方です。

家族手当の見直し

【見直し前】
配偶者…… 1万円
子供…… 5千円(高卒まで、2人まで)

【見直し後】
配偶者…… 廃止
子供…… 1万円(大卒まで、人数制限なし)

★オカネが要るのは大学入学後
★大学院に行く場合は支給
★引きこもりには支給せず

住宅手当の見直し

【見直し前】
扶養家族を有する賃貸住宅居住者……3万円
扶養家族を有する持ち家居住者…… 1万円

【見直し後】
「3万円」を調整手当として支給(逓減方式で減額へ。今後の該当者は支給せず)
「1万円」を調整手当として支給(逓減方式で減額へ。今後の該当者は支給せず)

役職手当・資格手当を拡充へ

【見直し前】
係長…… 2万円
主任…… 1万円

(資格手当)なし

【見直し後】
係長…… 3万円に拡充
主任…… 2万円に拡充

公的ライセンスの取得者に手当を支給します。

家族手当や住宅手当を廃止・減額したら
賃金ベースが下がってしまうが、その点は?


浮いた分は、基本給の引き上げに回したい。イマドキは求人難ですから、基本給の多寡は採用に響きます。インフレ時代ですから、基本給表を毎年書き換えることで競争力を維持するべき。
東京都の中小企業ならば、2025年の大卒初任給は次の額以上。

通常の中小企業 22万円(年に数人補充する程度の会社)
積極型の中小企業 24万円(毎年10人以上採用する会社)

この金額は基本給であり、諸手当は含まれていません。

基本給は、身体に例えてみれば「背骨」。そこができていない会社が手当を積み重ねても、それは総額の辻褄合わせに過ぎません。

基本給表をアップデートして賃金体系を整えることが何よりも重要。

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