給与のココが問題! Q&A
こんな家族手当はいかがですか?
その① 配偶者分ナシ(だって共稼ぎの時代ですもの)
その② 子供分は人数制限ナシ(だって何人もの子がいる人が少ないですもの)
その③ 子供分は在学中なら22歳まで(だって大学に進学すればお金が要りますもの)
北見昌朗が提案する新しい家族手当
配偶者分:ナシ
子供分:1人につき8000円(人数制限ナシ。在学中ならば22歳まで支給)
その他の家族分:ナシ
現在の家族手当からの移行方法(例)
差額は、毎年一定額ずつを引き下げる。例えば、毎年2000円ずつとか、2割ずつとか。
家族手当の生涯支給額の違い
仮に30歳で結婚し、31歳で第1子、33歳で第2子が生まれたら?
(従来の家族手当)
配偶者8000円 × 29年間 + 子4000円 × 18年間 × 2人=460万円
↓
(新しい家族手当)
配偶者0円 × 29年間 + 子8000円 × 22年間 × 2人=422万円
“家族手当のような住宅手当”にもメスを!
住宅手当のいろいろ
(A)世帯主に支給する住宅手当
(B)扶養家族のある世帯主に支給する住宅手当
AとBとの差額は、実質的に家族手当である。
属人的賃金は“合計額”でチェック
家族手当とか住宅手当のことを属人的な賃金といいます。それは単体ではなく、合計額でチェックするべきです。
配偶者および子供2人という家族だった場合の手当額はいくらになるのか?です。
A社 家族手当2万円
B社 家族手当2万円+住宅手当2万円
家族・住宅手当を減らして若手給与アップ(例)
手当減は、若手の昇給原資に回す。年功序列にメス!
北見式賃金研究所の調査結果
家族手当は、243社の中で、195社(80.2%)が支給していました。その額は次の通り。
配偶者 | 第1子 | 第2子 | 第3子 | |
---|---|---|---|---|
平均支給額 | 10,318 | 4,494 | 3,797 | 3,499 |
最高支給額 | 20,000 | 20,000 | 10,000 | 10,000 |
最低支給額 | 3,000 | 500 | 500 | 500 |
㈱北見式賃金研究所の顧客243社の給与規程からデータ収集(平成21年実施)
戦前には家族手当が義務化されていた!
日本は大正時代、第一次大戦後、家族手当を導入する企業が現れた。
昭和になると、戦時色が強まるとともに、政府が民間企業の賃金を統制しようとした。賃金制度は年功制を強制され、扶養コストに対応する形となっていった。
- 扶養家族ある労務者に対し手当支給に関する依命(いめい=命令)通牒(昭和15年発労第7号)
- 賃金制度指導要項(昭和16年)
- 賃金形態指導方針(昭和18年)
「家族手当を支給する会社」が減っている
東京都は「中小企業の賃金・退職金事情」という名の調査を毎年行っています。
それは調査対象企業が1000社以上あります。企業が従業員の賃金や賞与や退職金を検討する際に有益な資料になっています。
その資料を「家族手当」「住宅手当」に絞って、過去に遡って調べてみました。
家族・住宅手当の支給状況
東京都の「中小企業の賃金・退職金事情」は、平成23年の資料を見ると、次のように載っています。
集計企業数: 1472社
家族手当を支給する会社: 59.6%
(配偶者11,414円、第1子5,269円、第2子4,897円)
住宅手当を支給する会社: 46.9%
家族手当を支給する企業の割合
平成23年 59.6%?
平成18年 64.5% 5年前?
平成13年 72.9% 10年前?
:?
:?
昭和57年 83.4% 約30年前
「住宅手当を支給する会社」の割合
平成23年 46.9%?
平成18年 50.6% 5年前?
平成13年 55.2% 10年前?
:?
:?
昭和57年 64.0% 約30年前?
岐阜県経営者協会「岐阜県賃金資料 平成20年版」から
調査対象企業数197社。その中で家族手当を支給しているのは170社で、86.3%。
配偶者 | 第1子 | 第2子 | 第3子 | |
---|---|---|---|---|
全体の 平均支給額 |
12,577 | 3,804 | 3,270 | 3,270 |
官公庁や大手の家族手当
愛知県職員
第1扶養15,100円 第2扶養6,000円 第3扶養5,000円 第4扶養5,000円
★高校生・大学生の場合は、5,200円加算あり
名古屋市役所職員
第1扶養14,200円 第2扶養6,000円 第3扶養5,000円 第4扶養4,000円
★高校生・大学生の場合は、5,000円加算あり
トヨタ自動車
第1扶養19,500円 第2扶養3,500円 第3扶養3,500円 第4扶養2,000円
人数制限なし
定年を65歳まで延長、同時に「家族手当」の廃止に踏み切った松屋
百貨店の松屋は1998年、定年を65歳まで延長するに際して、賃金制度のあり方を大きく見直しました。そして、他の百貨店にさきがけて家族手当の廃止に踏み切っています。