「定額残業代」のため基本給の低さがスッポンポンに
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名古屋商工会議所の会報誌『那古野』(平成28年5・6月号)に北見昌朗が記事を投稿しました。
第2回目 ハローワークの求人票に異変!「固定残業代」に関して詳細を記載する時代に…
求人票は、ハローワークに行かなくても、ネットで閲覧できることをご存じだろうか?
「ハローワークインターネットサービス」というサイトがあり、求職登録していなくても誰でも閲覧可能だ。
求人票は「名古屋市正社員」という条件で、約1万3千件がヒットした。求人票を閲覧していて、筆者はある異変に気が付いた。検索する時は「フリーワード」を入れることもできる。そこに「固定残業代」などという文字で検索してみた。すると、出るは出るは…。
検索結果の内訳は、「固定残業代」(431件)「定額残業代」(12件)「みなし残業代」(34件)「みなし時間外手当」(9件)という感じだ。業種的には、卸売業の営業手当、建築業の現場手当など様々な名称で「固定残業代」を支給しているようだ(検索は平成28年3月時点)。
実際にどんな内容なのか見てみた。「システムエンジニア・プログラマー」を募集している某社は「a 基本給(月額平均)又は時間額15万3千円~45万9千2百円、b 定額的に支払われる手当 固定残業手当 4万7千円~14万8百円、計(a+b)20万円~60万円」という初任給だった。そして「固定残業手当は時間外労働の有無にかかわらず固定残業代として支給し、40時間を超える時間外労働分は追加で支給」という注釈も付いていた。
以前は、単純な総額表示方式だった。このように見直され、固定残業代の詳細を記載されてしまうと、どうしても基本給の低さに目がいってしまう。応募者にしてみれば、こんな印象を持つのではなかろうか?
「基本給15万3千円とは低いな。時給は900円にもならない」
「固定残業代が4万7千円ということは、長時間残業をさせる気なんだろう」
「これは毎晩遅くまでこき使うブラック企業かもしれない」
「システムエンジニア・プログラマー」という職種は、大卒を前提にしていると考えられる。初任給は高卒で17万円、大卒で20万円が相場だから、15万円とはかなり安い基本給で、本来ありえない額のはずだ。
「固定残業代」に関して、このように詳細な記載が入るようになったのは、昨年からだと思うが、今年に入ってから全国的に徹底されたようだ。
こうなってくると、求人票の見た目がまったく変わってくる。仮にA・Bという2つの会社の求人票があったとする。A社は「基本給20万円」、B社は「基本給15万3千円、固定残業代4万7千円」となっていたら、B社はもはや引き立て役に過ぎなくなる。
応募する側の立場に立って、募集条件を改めて見直してみよう。選んでもらえる魅力があるだろうか?