「定額残業代」のため基本給の低さがスッポンポンに
名古屋商工会議所の会報誌『那古野』(平成28年7・8月号)に北見昌朗が記事を投稿しました。
第3回目 ヨソに負けない年間休日数にしよう
連載の1・2回目は、初任給をテーマにした。3回目は、求人活動で1つのポイントになる休日数をテーマにしよう。
年間の所定休日数は、何日が相場なのか? それを調査できる良いサイトがある。ハローワークのインターネットサービスだ。これは全国の求人票が網羅されている。
筆者が「名古屋市内 正社員 全業種 全職種」という条件で調べたところ、平成28年春の時点で、1万2千件以上の求人票が出てきた。これだけ多くの求人票が出ているのだから、中小企業になかなか応募者が集まらないのは無理もない。
この求人票は「年間休日数」という欄がある。そこに日数を入力して検索すると何件ヒットしたかで、休日数の相場が把握できる。筆者は、85日、86日、87日と1日ずつ増やしながら、ヒット件数を調べた。すると、こんな結果が出た。
「年間休日数108日」のところである。そこで6千件の求人票がヒットしたので、ヒット率が0・5になった。つまりイマドキの相場は108日だったのだ。多くの会社は8時間労働なので「年間休日数108日・1日8時間勤務」というのがフツーだと言って良いだろう。
ちなみに、上位25%に位置するのは120日で、下位75%に位置するのが105日だった。この105日というのは、1日が8時間労働だった場合の1年単位変形労働時間制による最低限度の休日数なので、それがスタンダードのように思っている向きがあるかもしれないが、イマドキは下位でしかないことを頭に入れて欲しい。
仕事を探す側は、当然のように休みが多い方が良いので、休日数も条件に入れながら検索して職を探す。その際に下位の下位でしかなければ、引き立て役になってしまう。
この休日数の相場は、地域や業種によって異なる。「西三河 正社員 製造業 生産工程」という検索をしてみたら「上位118日、中位113日、下位106日」となった。つまり自動車産業のメッカでは、113日がフツーなのだ。
ちなみに暦通りというのは、120日のことだ。1年間は52週であり、完全週休2日制の場合は、それだけで104日になる。そのほかに祝日が平成28年だと16日あるので、それを含めれば120日だ。
それから所定休日とともに問題になるのが年次有給休暇の消化である。労働基準法を改正して、年休を最低でも年間5日消化することを義務付ける動きがある。だから消化日数を一定程度まで引き上げないといけないので、所定休日ばかり増やせない。
会社の体力に合わせながら、ヨソの動きを注視しながら、年休消化まで考慮しながら、適度な休日数にしてほしい。