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家族手当を「子供手当」に変更を!

家族手当見直し 配偶者控除拡大に伴う緊急アンケート家族手当見直し 配偶者控除拡大に伴う緊急アンケート

中日新聞(平成28年8月29日付)「変わる主婦の働き方」に、北見昌朗のコメントが載りました。

<変わる主婦の働き方> 廃止相次ぐ配偶者手当

配偶者手当をなくす企業が相次いでいる。昨年、トヨタ自動車が段階的な廃止を打ち出して話題になったが、同様の動きは中小企業にも波及。配偶者手当を子ども手当に置き換える企業もある。廃止や縮小の背景には、働ける主婦には働いてもらい、労働力不足を補おうという国や経済界の意図がある。

大企業に続く中小

学校給食のパンなどを手掛ける愛知県江南市の布袋(ほてい)食糧はことし一月から、配偶者の年収が百三十万円未満の場合に社員に支給していた月額一万円の手当を廃止した。

同社は社員三十六人の中小企業。検討を始めたのは、トヨタの見直し方針が報道された後の昨年十月から。「配偶者手当は男性が働き、女性が家庭を守るという考えが前提でつくられている。夫婦共働きが増えた今、専業主婦ありきの制度は違和感が強くなっていた」。同社総務部長の北野智久さん(57)は話す。

一方で、子一人当たり月額五千円を支給していた子ども手当は、四倍の二万円にした。高校卒業までの支給だが、「家計に重くのしかかる教育費など、厳しい子育て環境の中で助けになればと考えた」(北野さん)という。

廃止により、配偶者手当がもらえなくなったのは二十人。子どもがいなかったり、既に高校を卒業していたりして、子ども手当の対象にならずに手取りが減る社員は四人いたが、会社の狙いを説明したところ、納得してもらえたという。

他にも、ホンダは配偶者手当の廃止を予定、国家公務員は縮小が検討されている。

時代に合わない「妻は家庭」「収入要件」

人事院が二〇一五年に全国一万二千社余りを対象に行った調査では、69%の企業が配偶者手当を設けていた。妻の年収が一定を超えると不支給とする企業がほとんどで、妻の年収の基準は、税法上の配偶者控除の対象となる「百三万円以下」か、社会保険の被扶養者となる「百三十万円未満」に合わせた企業が多い。

国内外の賃金制度に詳しい社会保険労務士の北見昌朗さん(57)=名古屋市=によると、大正時代に配偶者手当を支給する企業が現れ、戦時の総動員体制が強まった一九四〇年、国が企業に強制した。「妻を家庭に縛り付け、兵隊を確保するための『産めよ殖やせよ』を推し進めるのが当時の狙いだった」と説く。

戦後は、「夫が稼ぎ、妻が家庭を守る」という性別による分業が、高度経済成長期に深く根付いた。

北見さんの顧客企業二百五十社ほどで、手当の平均は一万三百十八円。このうち二十社ほどで手当を見直す動きが広がっているという。

経済界の動きの背景には、国が「労働力が不足する今の時代にそぐわない」「中立的でない」などと、見直しの検討を企業に促していることがある。

厚生労働省の検討会はことし四月、「収入要件がある手当は就業調整(労働時間の抑制)につながる。働き方に中立的な制度となるよう見直しが望まれる」との報告書をまとめた。同省は見直しを実施した企業の事例などを紹介する冊子を配り、企業に検討を呼び掛けている。

労働条件政策課の担当者は「あくまでも企業が決めること」と前置きした上で、「時代に即した賃金のあり方を考えてほしい」と話す。

(諏訪慧)