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名古屋商工会議所の会報誌『那古野』(平成29年3・4月号)に北見昌朗が記事を投稿しました。

第1回 配偶者控除拡大でチョビッと延びるパートの勤務時間


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政府は、所得税の配偶者控除を拡大する方針です。いわゆる「103万円の壁」が見直しされると、パートタイマーの働き方も変わりそうです。どんな変化がありえそうなのか予測してみました。

いわゆる扶養の範囲内で働くことを希望するパートはこれまで、次のようなことを考える向きが多かった。

「税法上の扶養家族でいたいし」(103万円)
「健康保険の扶養家族でいたいし」(130万円)
「夫の家族手当も欲しいし」(103万円もしくは130万円? 会社による)
「パートの勤務先で社会保険に加入したくない」

そうなりますと、例えばこんな年収で働くことになります。

1日5時間勤務 × 月間20日 × 12ヵ月 × 仮に時給850円
=年収102万円

話は変わりますが、会社の家族手当の支給要件は、103万円もしくは130万円未満のところが多いですが、主流派は103万円です。会社は、今後支給要件を見直しするところが増えるでしょう。私は、今後「130万円」が主流派になると予測します。

そうなりますと、パートはこんなことを考えて働くようになるでしょう。

「税法上の扶養家族でいたいし」(拡大へ)
「健康保険の扶養家族でいたいし」(130万円)
「夫の家族手当も欲しいし」(130万円?)
「パートの勤務先で社会保険に加入したくない」

そこで想定されるのが次のような年収です。

1日5時間50分勤務 × 月間20日 × 12ヵ月 × 仮に時給900円
=年収126万円

つまり、パートの勤務時間はチョビッとですが、以前より延びる可能性があります。多少の昇給もできそうです。

政府は、所得控除拡大によりもっと長時間の勤務を期待したかもしれませんが、健康保険料の負担まで考えると、現実的にはそんなところでしょう。

政府の政策は縦割り行政であるために、税と社会保険の仕組みに一体感がないです。いわゆる“壁”とは、どんなものがあるのか整理してみました。

壁その①「4分の3の壁」とは?

社会保険の加入要件は、1週間の労働時間および1ヵ月の労働日数が4分の3以上になると加入義務が生じます。8時間勤務の場合は6時間で該当します。

壁その②「106万円(月額8.8万円)の壁」とは?

社会保険の被保険者数が500人以上の大手では、週20時間以上勤務して、給与がその額に達すると社会保険に加入義務が生じます。

壁その③「130万円の壁」とは?

年収がその額に達すると、健康保険の扶養家族から外れて保険料を自己負担になります。これが大きな額なのです。

壁その④税法上の扶養控除の枠が拡大へ。

この原稿は平成29年1月5日に執筆していますので、いくらになるのか定かではありません。