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名古屋商工会議所の会報誌『那古野』(平成29年9・10月号)に北見昌朗が記事を投稿しました。

第4回 わかりにくい残業規制の「中身」 どうなる労基法改正!


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残業の削減は、どこの会社でも取り組んでおられますが、その管理はこんな感じになっていませんか?

 Q 残業は月間80時間超になっていないか?
つまり過労死ラインと言われる時間数を意識してのことだと思います。しかしながら国会で審議予定の労基法改正案は、そんなレベルのものではありません。
仮に36時間外協定(特別条項付き)を出していたとしても、次のような要件を全部満たさなければなりません。

 Q 残業は年間720時間以内か?
 Q 残業は月間100時間未満か?(ココだけ未満です)
 Q 残業は平均80時間以内か?(2-6ヶ月の平均)
 Q 月間45時間超の残業は年間6回以下か?

いかがでしょうか? 要件が多いので、理解するだけでも大変ですよね? 筆者は、個人的にはもっと単純な要件にして欲しいと願います。例えば「残業は年間720時間以内かつ月間100時間以内とする」等という感じで要件を減らして欲しい。

1つや2つならクリアできたとしても、全部の要件をクリアするのは相当困難だと感じませんか? 一番難しそうなのは「Q 月間45時間超の残業は年間6回以下か?」の部分だと推察します。これまでも特別条項には「年6回まで」という上限はありましたが、形骸化されていて実際にはあまり管理されていなかったと思います。

例えば、1つの例を挙げてみましょう。元旦営業をしているショッピングセンターを想像して下さい。繁忙期は、1月、5月、7月、8月、12月だったとします。

残業は最低でも毎月「30時間」あったとして、繁忙期に更に加えて「50時間」(つまり合計80時間)あったとします。そうなりますと、「30時間×12ヶ月」の部分は36時間外協定の「年間360時間」(1年単位変形労働時間制の場合は320時間)以内ですのでセーフです。繁忙期においても「30時間+50時間=80時間」ということで、80時間以内を守っているのでセーフです。

しかしながら、7月または8月に80時間を1分でも超過したら、その2ヶ月平均が80時間超となるため、違法残業になります。

このように残業規制が厳しくなりますと、日本人の働き方も変わりそうです。目の前に残った仕事があったとします。退社時刻が来たら、仕事をそっちのけにして帰りますか? これまでの日本の常識では、残業をしてでもやり切りますよね? ところがそれができなくなるのです。限度時間を超えての残業は即「違法残業」になります。

経営者は、労基法改正が経営に与える影響の大きさを覚悟して、腹をくくった方が良さそうです。

話のポイント
●月間45時間超の残業は年間6回以下か?
●残業は年間720時間以内か?